『プロレタリア音楽と詩』

東京紅玉堂書店出版、「プロレタリア音楽と詩社」編集の、プロレタリア音楽・プロレタリア詩の専門雑誌です。

創刊号の編集後記には「活字からの詩とともに、耳からの詩の要求が、労働者農民大衆のなかから叫ばれてから久しい。いま、漸く、これらの要求に応ずるために「プロレタリア音楽と詩」を創刊し、全国の工場農村の同志諸君に送る。」と書かれてあります。

『プロレタリア詩雑誌総覧』(戦旗復刻版刊行会 1982年7月30日出版)によると、「第一年第一冊〜第五冊まで確認」とのことです。この総覧には、全5冊の総目録が載っていますが、各論文や詩、譜などのタイトルのみが掲載されているだけで、内容の復刻まではされていません。

また、2012年7月に発行された『コレクション・都市モダニズム詩誌 第20巻 音楽と詩』(ゆまに書房)に復刻収録されていますが、こちらはオリジナル版の完全再現ではなく、主要なページのみを転載しているだけにとどまり、奥付や広告などは全てカットされています。解題には「モダニズム詩と音楽の関係を考える上で重要な雑誌であり、本書には雑誌の記事、楽譜の大部分を収録した。」と記載されており、他に収録されているアナキスト詩雑誌『弾道』やプロレタリア詩雑誌『プロレタリア詩』、『詩精神』などよりは項数を多く割いてはあります。

私が所有している第一年第一冊(創刊号)、第一年第三冊、第一年第五号(終刊号と思われる。第五「冊」ではなく第五「号」となっているのはそのママ)の3冊を紹介します。




第一年第一冊 四月創刊号

昭和5年4月1日発行

20銭



第一年第三冊

昭和5年6月1日発行

20銭



第一年第五号

昭和5年8月1日発行

25銭

表紙に「8」とありながら、目次では「七月号」となっているのは目次の誤りです。



『日本の革命歌』に掲載されていない歌が複数あるので、それらも紹介をしておきます。当時の歌はメロディの分からないものも多いのですが、さすがは専門誌なだけあって、多数の楽譜が掲載されているのが特徴です。

「男の歌」


「大牟田労働歌」「かぞへ歌」




「挽歌」


「鎌・鎚・赤い星」



「パピプペポの歌」



「石材採掘工の唄」



「われらが旗いろ」


「前衛の歌」




こちらの写真は、『プロレタリア音楽と詩 昭和5年5月号』と書かれている封筒です。5月号ではなく、6月号の第一年第三冊と一緒に入手したものです。バツで消されていますが、もとは前奏社から槇本楠郎へと送られたものです(その時の中身が何だったかは不明)。前奏社はプロレタリア詩雑誌『詩精神』(1934年2月〜1935年12月)の発行元です。槇本楠郎は、プロレタリア童謡集『赤い旗』の著者で、『詩精神』には「童謡に於ける風刺について」(第一巻第一号)、「童謡の作家たちに」(第二巻第十号)という文章を書いています。




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