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『わが母のうた 荒木栄遺作集』

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  『わが母のうた 荒木栄遺作集』 発行 1962年12月9日 編集 荒木栄遺作集編集委員会 発行人 山下敏之 発行所 大牟田センター合唱団 作曲家の荒木栄は1962年10月26日に亡くなりました。その44日後の12月9日に開催された「日本のうたごえ祭典」に持参するために、大牟田センター合唱団が短期間で制作した遺作集です。 この「斗いの中から」は 『労働者作曲家 荒木栄の歌と生涯』 (神谷国善著 新日本出版社 1985年10月25日)に再録されていますが、8行目のニエ・アル(中国国歌「義勇軍行進曲」の作曲者)の文は削除されています。 以下は『労働者作曲家 荒木栄の歌と生涯』で「全国的視野に欠ける」と書かれている、荒木栄の歩みと評価です。 先ほどのニエ・アルや、毛沢東の「文芸講話」を死ぬまで幾度となく読んでいた、という記述もあり、また、 『この勝利ひびけとどろけ : 荒木栄の生涯』 (森田ヤエ子著 大月書店 1983年12月15日)によると、「創作上の勉強のために社会主義となった中国を見聞したかった」と言って、訪中日本合唱団のメンバーに選ばれなかったことを当たり散らしていたそうで、中国にかなりの親近感を持っていたのでしょう。 荒木栄の作品全集は、音楽センターから1969年と1975年(増補改訂版)に出版されていて入手は容易ですが、こちらの大牟田センター合唱団版は出回っているのはあまり見たことがありません。 『労働者作曲家 荒木栄作品全集』 発行 1969年12月10日 編集 荒木栄作品全集編集委員会 発行人 神谷国善 発行所 音楽センター 『労働者作曲家 荒木栄作品全集』 増補改訂 1975年11月10日 編集 荒木栄作品全集編集委員会 発行人 木下尊規 発行所 音楽センター 

舞台劇『地底の歌=荒木栄の生涯』台本

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「がんばろう」や「沖縄を返せ」、「心はいつも夜明けだ」などで知られる、労働者作曲家の荒木栄を主人公とした舞台劇の台本です。 全128ページの活版印刷(一部ガリ版刷)で、書き込みもあり、実際に使用されたもののようです。一般に販売されたものではないので奥付などはなく、いつ頃のものなのかは分かりません。内容の情報から5月27日が土曜日の年だとは分かるので、1967年か1972年のものだと思われます。 色々と調べると劇団「橋」の活動歴はいくつか分かったものの、この作品の上演情報は確認出来ませんでした。 神谷国善著『労働者作曲家 荒木栄の生涯』(新日本出版社 1985年10月25日初版)によると、村山知義・山崎欣太・稲垣純の共作で「ある労働者作曲家の生涯」という舞台劇が創作され、1966年10月に、東京芸術座によって東京都市センターホールで上演されたそうです。ただ、総評、炭労などの労組、うたごえ、労音、労演などの協賛を得て劇団の総力をあげて上演したものの好評ではなかったようです。主人公の新井佐久治が、妻子があるのに別の娘に思いを寄せるが、作曲上の苦悩と合わせてオルグの樺島や仲間のなかで克服されていく、という筋書だったようです。 こちらの『地底の歌=荒木栄の生涯』の原作は山崎欣太で、劇団「橋」創作グループによって改作されています。 主人公は「新井佐久治」ではなく「荒木栄」であり、色恋沙汰の描写はありません。「樺島」はいますが、オルガナイザーというよりは相談相手としての登場です。 作った歌が労働者に受け入れられなかった荒木が、職場に「うたう会」を結成し、沖縄返還大行進のために「沖縄を返せ」を作曲して支持を集めていき、共産党に入党して自分の進む道を確信するものの、三池闘争のさなかに病に侵されてしまい、無理を押しながら争議を闘っていく、という内容で、要所要所で荒木作品の合唱が挿入されます。 現在の感覚からすると、本当にこんな劇が上演され、見にくる客がいたのかと思いますが。 面白いのは面白く、他では見られないので全て紹介したいところですが、全ページはさすがに大変なので一部を掲載します。 プロローグ 三幕六場 三幕七場 エピローグ

ルーマニア人民共和国の音楽教科書『MUZICA』

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 アルバニアの歌曲集に続き、今回は1960年代前半のルーマニア人民共和国の音楽教科書を取り上げます。 社会主義ルーマニアといえばチャウシェスクによる独裁のイメージが強いですが、チャウシェスクが共産党書記長になったのは1965年(この年にルーマニア人民共和国からルーマニア社会主義共和国に国名変更)で、個人崇拝が始まったのは1970年代に入ってから。それまでは社会主義国の中では比較的自由な国でした。 チャウシェスクを讃える歌はYouTubeにも多くあがっていますが、今回紹介するものはそれ以前のもので、日本で目にする機会はあまりないのではと思います。 アルバニア語と同様に、ルーマニア語も全く分からないので、翻訳アプリを使って解読をしていきました。 自由な社会主義国とはいえ、国家や党を讃える歌がズラリと並んでいます。 ただ、注目すべきは指導者を讃える歌が全くないことです。見落としがあるかも知れませんが、個人名(レーニンは除く)が一切出てきません。 社会主義陣営では、アルバニアの本にはエンヴェル・ホッジャの歌がたくさんありましたし、中国では毛沢東、ソ連ではスターリン、北朝鮮では金日成、ベトナムでもホーチミンといったように、彼らの歌はいくらでも思い浮かびます。 日本共産党の宮本顕治を讃える歌のレコードも出されています。 そういう歌が一切ないところからも、当時のルーマニアの様子を伺い知ることが出来ます。 目次はありますが、あくまでも各論だけの表記にとどまり、各曲のタイトルは明記されていないので、掲載されている曲については1ページずつめくって確認する必要があります。 どれも全て楽譜と歌詞が載っていますが、1番の歌詞は楽譜に併記されていて、2番以降が歌詞のみで掲載されています。 そのため、2番以降の歌詞の訳はカメラをかざすだけで出来ますが、1番については、単語の中にハイフンが入ったり、単語が五線譜をまたいだりして、解読は容易ではありませんでした。 手で別紙に書き起こせば、それを携帯で読み込めるのでしょうが、そこまでの気力はなく、見送っています。 5年生、7年生、8年生、9年生の4冊があるので、それぞれ見ていきましょう。 『MUZICA MANUAL PENTRU CLASA a V-a 音楽 5年生の教科書』 1962年にブカレストで発行 部数は35万部 中表紙に「Manua...