『生活線ABC』

 1931年に出版された、細田民樹の『生活線ABC』というプロレタリア文学があります。



著者 細田民樹
発行所 中央公論社
印刷 昭和6年11月27日
発行 昭和6年12月1日
定価 1円70銭

これが1931年12月11日に松竹によって映画化されました。本の発行が12月1日なので、その10日後ということになります。
松竹の作品データベースによると、前篇8巻、後篇9巻の無声映画で、島津保次郎監督、田中絹代などが出演しています。

このフィルムが現存してるのかは不明ですが、主題歌のレコードがあります。



A面が矢追婦美子による「生活線ABCの歌」、B面が馬場晴子による「よきプロレタリアの唄」、どちらも作詞はサトウ・ハチローです。

また、松竹キネマ楽譜出版社が発行した、松竹キネマ超特選楽譜というものがあり、その156番が「よきプロレタリアの唄」です。155番は「生活線ABCの歌」ですが、私は所有しておりません。



発行所 松竹キネマ楽譜出版社
販売所 松竹キネマ楽譜販売所
編集者 松竹キネマ楽譜編集部
昭和6年10月8日印刷
昭和6年10月12日発行
定価金15銭

発行が映画の公開どころか、本の出版よりも前の日付になっています。小説『生活線ABC』自体は雑誌『大衆の友』創刊号(1931年2月)に掲載されているので、その直後から、映画化・レコード化の動きがあったのでしょう。

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