『9.18』

 






編集 黒川利夫

印刷 1932年9月18日

発行 1932年9月23日

発行所 仙台市南光院丁5 無産者法律相談所内 日本プロレタリア文化連盟宮城地方協議会


各ページの紙の質もサイズもバラバラな、粗悪なプロレタリア文化系の作品を集めたパンフレットです。どこまでがタイトルなのか、「1932.9」を含めるのかは判りません。

宮城前衛劇団文芸部の北霊三による「シュプレッヒコール 九月十八日は近づいた」という作品が掲載されており、「九月十八日こそは労働者、農民、失業者、お俺達が一緒になって帝✕主義戦争に●対する日だ」(要約)とあり、9.18というのは、おそらく前年の1931年9月18日の満州事変のことを指していると思われます。
北霊三については情報がなく、どういう人物かは判りませんでした。

このなかに、日本プロレタリア音楽家同盟仙台支ブ準備会による曲が2つ紹介されており、1つが今日でもよく知られている「自由のロシヤの讃歌」で、もう1つが「ナニヲヤロ」です。この「ナニヲヤロ」は、『日本の革命歌』や、当時の子供向けの革命歌が紹介されている『小さい同志』や『赤い旗』、『少年戦旗』、『プロレタリア童謡講話』などにも掲載されておらず、新たな発見と思われます。


カタカナばかりで読みにくいので書き起こしておきます。

「何をやろ」
地主のハゲさん 何をやろ
ツクシを摘んだら ハカマやろ
タケノコむいたら 皮をやろ
トーキビもいだら ヒゲをやろ
栗の実 拾たら トゲをやろ
なんにもないときゃ ゲンコやろ

「自由のロシヤの讃歌」もこれと同じく日本プロレタリア音楽家同盟仙台支部準備会(こちらの「部」は漢字)によりますが、仙台支部が作った曲ではないと思われます(根拠はありません)。「ナニヲヤロ」の方はトウモロコシのことを東北・北海道方言のトーキビと呼んでいて、あるいは仙台支部が作ったものかもしれません。

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