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『戦斗的無神論者』

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『戦斗的無神論者』1931年10・11月号 発行 1931年11月6日 発行所 日本戦闘的無神論者同盟 価格 10銭 1930年代初頭に、プロレタリア文化連盟の一員として活動していた団体の、極めて珍しい雑誌です。 こちらに歌が2つ掲載されており、『日本の革命歌』にも収録されていないので紹介をします。 「女工の歌」と「農民の歌」であり、『日本の革命歌』の女工・農民運動それぞれの貢を見ても、類似したものもありません。 この文章を寄せた徳永鐵なる人物がどこの誰なのか、ハッキリしたことが分からず、唯一の手掛かりになりそうな「丸東工場」についても不明です。 当時の革命歌・労働歌などは、書かれたものとしては残っていますが、実際に当時の人たちの口から歌われていたのか、やや疑問に思われるものもありますが、このような、作り歌い広めた具体的な方法が残っているのは貴重です。 なお、極めて珍しい雑誌ですが、手元に1932年5月号と、前身の反宗教闘争同盟準備会による『反宗教斗争』創刊号(1931年6月15日発行)があり、また、国立国会図書館にも『戦斗的無神論者』1931年12月号があり、中を確認しましたが、歌についての記述はありませんでした。

『9.18』

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  編集 黒川利夫 印刷 1932年9月18日 発行 1932年9月23日 発行所 仙台市南光院丁5 無産者法律相談所内 日本プロレタリア文化連盟宮城地方協議会 各ページの紙の質もサイズもバラバラな、粗悪なプロレタリア文化系の作品を集めたパンフレットです。どこまでがタイトルなのか、「1932.9」を含めるのかは判りません。 宮城前衛劇団文芸部の北霊三による「シュプレッヒコール 九月十八日は近づいた」という作品が掲載されており、「九月十八日こそは労働者、農民、失業者、お俺達が一緒になって帝✕主義戦争に●対する日だ」(要約)とあり、9.18というのは、おそらく前年の1931年9月18日の満州事変のことを指していると思われます。 北霊三については情報がなく、どういう人物かは判りませんでした。 このなかに、日本プロレタリア音楽家同盟仙台支ブ準備会による曲が2つ紹介されており、1つが今日でもよく知られている「自由のロシヤの讃歌」で、もう1つが「ナニヲヤロ」です。この「ナニヲヤロ」は、『日本の革命歌』や、当時の子供向けの革命歌が紹介されている『小さい同志』や『赤い旗』、『少年戦旗』、『プロレタリア童謡講話』などにも掲載されておらず、新たな発見と思われます。 カタカナばかりで読みにくいので書き起こしておきます。 「何をやろ」 地主のハゲさん 何をやろ ツクシを摘んだら ハカマやろ タケノコむいたら 皮をやろ トーキビもいだら ヒゲをやろ 栗の実 拾たら トゲをやろ なんにもないときゃ ゲンコやろ 「自由のロシヤの讃歌」もこれと同じく日本プロレタリア音楽家同盟仙台支部準備会(こちらの「部」は漢字)によりますが、仙台支部が作った曲ではないと思われます(根拠はありません)。「ナニヲヤロ」の方はトウモロコシのことを東北・北海道方言のトーキビと呼んでいて、あるいは仙台支部が作ったものかもしれません。